ここではいままでどんなことがあったのだろう。ニセコのことをもっと深く知りたい。
そんな思いから、サイコーニセコ編集部は、ニセコで文化を築いてきたレジェンドたちを訪ねることに。
前回に引き続き登場するのは、ニセコの星空に魅力を見出した渡辺浩樹さん。みなさんは、ニセコで星空ツアーが長く行われていることを知っていますか?渡辺さんは、その発端となったレジェンドです。
あるときは星のソムリエ®︎(準案内人®︎)や星空コンシェルジュとして、またあるときはパルプ作家〈かげぼうし〉として活動されている渡辺さんに、さまざまなお話を伺ってきました!
第2回となる今回は、作家として渡辺さんが手がけるアートや、ニセコのアートシーンについてお届けします。

もっと浸透させたい、多彩な作家が集うニセコのアートシーン。
星のソムリエ®︎(準案内人®︎)や星空コンシェルジュのほかに、パルプ作家としての顔も持ち、〈かげぼうし〉の屋号でアートを制作する渡辺さん。
これからサイコーニセコに期待することを聞くと、「ニセコのアートをどんどん発信してほしい」という答えを挙げてくれました。
「実はね、アートがあんまり表に出てきていないんですよね」
言われてみると、「ニセコ」と聞いて思い浮かぶのはアウトドアのイメージが強く、アートが息づくエリアという印象は十分に広まっていないかもしれません。
渡辺さんは自身を含むニセコエリア在住の作家7名で〈ギャラリーかたち〉を運営していますが、このギャラリーの存在もまだまだ浸透していないと言います。
でも、アートを求めてやってくる人たちは確かにいる。実際に〈ギャラリーかたち〉について尋ねる電話がかかってくることも度々あるようです(取材の2日前にも電話がきたのだとか!)。

〈ギャラリーかたち〉の営業は冬限定なので、夏の問い合わせだと残念ながら案内することが叶わないそうですが、「じゃあ〇〇はやっていますか?」と別のギャラリーについて尋ねられることも。
アートがなかなか知られていない中でこうして電話をかけてきてくれる人たちは、自らネットであれこれ調べたり観光協会に聞いたりして情報を手に入れていることが多いそう。
「そういう人たちがアクセスしやすいように発信してくれたらうれしいですね」
と、渡辺さん。ニセコを訪れる人が楽しめるようにと思考をめぐらせるのは、星空を案内するときもアートに携わるときも変わらないようです。
「作品の販売に直接結びつかなくても、いろんなアートをやっている人がいるんだってことが広まるのは、作家にとってもうれしいです」
渡辺さんが〈ギャラリーかたち〉を共にする仲間も、鉄、木工、ガラス、織、フェルト、陶芸…と、それぞれに異なるアートを展開しています。
「俱知安には画家の徳丸さんもいらっしゃいますしね」
少しお話するだけで、本当にニセコには数々の作家がいるのだということ、そしてジャンルも多様であることが伝わってきました。
師匠から受け継いだ技が光る、「かげぼうし」のパルプアート。

渡辺さんが手がけるアートは、パルプでつくりあげる灯りがメイン。作家として歩みはじめたきっかけを伺うと、「師匠が奥さんの叔父なんです」という答えが。
その師匠から教わったのが、パルプアートでした。紙の原料となるパルプを使った繊細なアートで、素材の質感により生まれる温かさや豊かな表情が魅力です。
「はじめる何年も前に一度誘われたんですけど、ホテルの仕事が楽しいからって行かなかったんです。でも、あるときポンと行ってみたらおもしろくて」
それから、ホテル勤めのために長期の休みはとれないながらも、埼玉にいる師匠のもとへ年2〜3回通って技法を学んだそう。そしてついに、ホテル退任後には作家として独立。
師匠が亡きいまも、「この技法でつくれる人はお弟子さんでもふたりくらいしかいない」と言う大切な技を受け継ぎ、渡辺さんはパルプアートをつくり続けています。
渡辺さんの作品ができあがるまでには、パルプを漉く(すく)という工程が欠かせませんが、詳しく聞いてみるとこれが気の遠くなるような作業。
「厚みを出したくても、いっぺんに厚く漉こうとすると滲んじゃうんです。だから薄く漉いて、それを同じように7回から8回重ねるんです」
パルプを漉く型もすべてオリジナルでつくっている渡辺さん。ひとつひとつ細やかに重ねられた工程が、作品の美しさを生み出しているのだと感じました。


現地に足を運び、お気に入りのアートに出合う体験を。
「実物を見て質感を感じてほしいので、ネット販売はやっていないんですよ」
渡辺さんの作品を購入できるのは、現地に足を運んだ人のみ。冬限定の〈ギャラリーかたち〉、仲間が営む〈RAM工房〉で展示販売しているほか、ニセコのホテルでも見ることができるそう。
「ホテルにはいろんな作家のものが置いてあると思いますよ。僕の作品はノーザンと、楽水山さん※1に置いていただいています」
※1 ニセコ羊蹄の宿 楽水山
出身ホテルのニセコノーザンリゾート・アンヌプリにも展示してあることから、「ノーザンで見ました」という問い合わせがくることも多いそう。ホテル時代からの縁を感じるお話です。
ギャラリーで購入するのと違い、ホテルに置いてある作品を購入するのは難しいですが、「あのとき見たこの作品が忘れられなくて…」という相談には応じてくれるみたいです。
さて、ここまで伺ったお話をご紹介してきましたが、百聞は一見にしかず。ぜひニセコでアートに触れる旅を楽しんでみてくださいね。編集部も、アートな“サイコーニセコ”をもっと見つけていきたいと思います。

※本記事の写真は渡邊さんよりお借りしました。©渡辺浩樹
▼〈ギャラリーかたち〉の詳細はこちら
ギャラリーかたち
所在地 倶知安町山田188-24 Bang2入り口横
営業時間 11:00〜18:00(冬季限定)
各作家のSNS @kageboushi/@gallery_ram/@yunosato_desk/@glass_doum/@weavingdesignhuhu/@faf103/@shu_jewelry
▼【レジェンドに訊くニセコ】渡辺浩樹さん 全3回はこちら
vol.1 星空篇
vol.2 アート篇(本記事)
vol.3 暮らし篇





