ここではいままでどんなことがあったのだろう。ニセコのことをもっと深く知りたい。
そんな思いから、サイコーニセコ編集部は、ニセコで文化を築いてきたレジェンドたちを訪ねることに。
今回から3回にわたって登場するのは、ニセコの星空に魅力を見出した渡辺浩樹さん。みなさんは、ニセコで星空ツアーが長く行われていることを知っていますか?渡辺さんは、その発端となったレジェンドです。
あるときは星のソムリエ®︎(準案内人®︎)や星空コンシェルジュとして、またあるときはパルプ作家〈かげぼうし〉として活動されている渡辺さんに、さまざまなお話を伺ってきました!
初回は、渡辺さんが築いた星空ツアーの成り立ち、そしてニセコで見る星の美しさについてお届けします。
ニセコの夜には、ここだけの輝きを見せる星空が広がる。
「都会では見られない星空を眺めてぼーっとするのはなかなかいいですよ」
そう教えてくれたのは、いまやニセコの夏の風物詩といえる「ニセコアンヌプリ星空ピクニック」というツアーでガイドを務める渡辺さん。ニセコの星空を知り尽くす人物です。
ツアーは8月上旬からお盆までの土日・祝日に開催。ゴンドラでアンヌプリを上り、標高1000mの展望広場へ。向かいに羊蹄山を望む場所で、きらめく星を眺めることができます。
2026年度の詳細はニセコリゾート観光協会HPをご覧ください
ニセコには「札幌から日帰りで遊びに行く」という人も多いですが、星がきれいだと聞くと、日帰りではなく泊まりでゆっくりと滞在してみたくなるのではないでしょうか。
「ツアーでは、星座の紹介とか星を眺めるのが楽しくなる話をしたあとに、フリータイムがあります。マットを貸し出して、座ってもいいし寝転んでもいいし、っていうスタイルです」
降り注ぐような星を、自由な姿勢で存分に眺める。澄んだ空気の中、札幌で見るのとはまったく違う星空に出会えるのは、宿泊ならではの体験です。
ツアー限定で運行するナイトゴンドラに乗って夜の真っ暗闇を進む体験も、実はなかなかレア。もしあいにくお天気に恵まれなかったときも、それはそれでここだけの体験に。
ちなみに、ツアー開催当日の15時に天候を判断。雨の場合は中止ですが、曇りの場合はお客さんに希望を確認してから実施するかどうかを決めています。
坂を歩いたり、牧草に寝転んだり。手探りではじめた星空案内。
「お客さんに夜もニセコを楽しんでもらいたいって思ったのがきっかけなんですよね」
かつてニセコノーザンリゾート・アンヌプリ(ホテル)で働いていた渡辺さん。いまでは観光協会主催となっているツアーですが、発端は渡辺さんがホテル時代にお客さんを案内したことでした。
「いまみたいにツアーをしっかり組む前から、ホテルのお客さんに星空を案内していたんです。はじめは、ちょっと外に行ってみませんか?って連れ出すような感じでした」
ホテルからスキー場の第二駐車場あたりまで歩き、見返り坂を上ってジュニアコース入り口の広場に向かう。それが、はじめた頃のコースだったそうです。
「楽しんでもらうための工夫として、牧草のブロックを積んで、そこに寝っ転がって牧草の匂いを嗅ぎながら星空を眺める、なんてことをやっていたときもありました」
自然と一体化するように体をリラックスさせて、目線の先には満天の星。お話を聞きながら想像してみると、体験してみたい気持ちがむくむくと膨らみます。
「牧草の上はあったかくてね、すごく気持ちよかったですよ」
と、渡辺さんは当時を振り返ります。そう聞くとやっぱり気になりますが、牧草の管理が難しく、このスタイルは長くは続けられなかったそう。
牧草に寝転ぶというスタイルは、お客さんを楽しませたい一心で手探りする過程だからこそ生まれたものといえるかもしれません。体験できた人の心には残り続けているのだろうな、と思いを馳せます。
その後も渡辺さんは試行錯誤を重ね、星空を眺めるスポットや移動ルートも変えながら、ホテルのお客さんを案内。多いときはなんと100人以上が参加するまでになったそうです。
ニセコの星々を案内する「星空コンシェルジュ」を輩出。
長きにわたり星空を案内する渡辺さんは、ホテル時代に「星のソムリエ®︎」(準案内人®︎)の資格を取得。2013年当時、北海道で資格を持つ人は渡辺さんを含めて2名のみだったとか。
その頃は資格取得のための講座が北海道で開催されることはなく(現在は芦別での開催実績あり)、本州の開催地まで何度も自腹で(!)行ったそう。
こうして星空を案内するための知識や経験を豊かに身につけてきた渡辺さんですが、次第にひとりだけではやっていけないと感じるようになったと言います。
「最初はひとりでやっていたんですけど、僕が出張でいないときにもツアーをできたらいいなと思って、案内できる人を養成したんです」
渡辺さんがニセコリゾート観光協会の取締役を務めていたこともあり、観光協会認定の「星空コンシェルジュ」という資格をつくることに。いまは2名が資格を持っています。
資格を持つ2名は、もともと渡辺さんと同じホテルで働いていた人たち。ホテル時代のお客さんがいまでも会いに来てくれることがあるそうですが、当時の仕事仲間との関係が続いているのも素敵です。
© ニセコプロモーションボード
そっと心をほぐす光景が、忙しい日常を忘れさせてくれる。
想像以上の美しさがあるニセコの星空。「日本一の星空の村」と称される長野県阿智村にも足を運んだことのある渡辺さんは、「ニセコも星空は劣っていないんじゃないかな」と感じたそうです。
ただ、阿智村では星空の美しさだけでなく、ツアーや取り組みのすばらしさも感じたそうで、「そこはまだ、ニセコは追いついていないです」と言います。
「日にちを限定して夜間はカーテンを閉めてもらうようにちょっとお願いしたりするだけでも、もっと星がきれいに見えると思うので、そういうこともやれたらいいですね」
ホテルのお客さんに楽しんでもらおうとはじめた星空の案内。それから長い年月が経ついまもこうして、渡辺さんは「もっと楽しんでもらうために」と考えているようです。
「とくに忙しい人に見てほしいな」
日常ではスマホやPCの画面とにらめっこ。仕事に追われて普段は空を見上げる余裕なんてない。そんなふうに忙しく過ごす人こそ、ここで見る星空に癒されるはずです。

© ニセコプロモーションボード
地元のすばらしさは、実は暮らしのすぐそばにあるもの。
「こんなにすばらしいものがあるんだよって、住んでいる人たちにも知ってほしい」
地元の子どもたちに向けて解説したこともある渡辺さんは、「プラネタリウムに行かなくても、こんなにすばらしい実物があるんだから」と笑顔を見せます。
このすばらしさに、住んでいると意外と気づかないことも。でも、他の地域の星空も見てきた渡辺さんが「本当にきれいなんですよ」と言うニセコの星空は、きっと地元が誇れるもの。
星を楽しむのは、お金をかけずにただ空を見上げるだけでできちゃうこと。日々の暮らしの中で、そのすばらしい星空を見ることができるのは、住んでいる人の特権です。
「ビューポイントもたくさんあるんですよ。国道5号線沿いだって車が来なければバッチリ見える。そういう場所は、それこそ“サイコーニセコ”だと思いますね」
ツアーでアンヌプリを上って星を眺める体験はもちろん格別ですが、ふとした瞬間に夜空を見上げてみるのも、ニセコの魅力に改めて気づくきっかけになるかもしれませんね。
▼「ニセコアンヌプリ星空ピクニック」の問合せ先はこちら
ニセコリゾート観光協会
電話番号 0136-44-2468
■JRニセコ駅観光案内所
所在地 ニセコ町中央通142の1
営業時間 9:00〜18:00 ※不在時あり
定休日 無休
電話番号 0136-44-2468
■道の駅ニセコビュープラザ観光案内所
所在地 ニセコ町元町77の10
営業時間 9:00〜18:00
定休日 無休
▼【レジェンドに訊くニセコ】渡辺浩樹さん 全3回はこちら
vol.1 星空篇(本記事)
vol.2 アート篇
vol.3 暮らし篇





