私は以前〈有島記念館〉に行った話をここで書かせていただき、記念館を見学してから興味を持って有島作品を読み始めた。
初めて記念館に行った日は併設されているブックカフェにも立ち寄り、そこで有島作品をいくつかちらりと読んでみて、まずは一番に気になった『生れ出づる悩み』から本格的に読むことにしたのだった。
…と、記念館→ブックカフェのルートで有島作品を楽しめるのはもちろんだが、ニセコ町内には他にも有島作品に触れられる場所があるのをみなさんはご存知だろうか。
その場所とは、〈あそぶっく〉というかわいらしい名前の図書館。
町民でなくても誰でも利用できる図書館だから、「急な雨で行き場をなくした」という人にもおすすめだったりする。本を借りるのには図書カードが必要になるが、館内で読むのには何も手続きがいらず、座席の利用も自由。
ニセコを感じるならまずはこのコーナーへ
こだわりを感じる配架が面白く、「ニセコセクション」と題されたコーナーに有島武郎の小説が一通り揃っているのだ。ドライブ中に偶然見つけた図書館だったが、もしや有島に導かれていたのだろうか。
有島作品はご覧のとおり、多くの作品がピックアップされている
ニセコに縁のある作家は有島だけでなく、少女時代をニセコ町で過ごしたという畔柳二美の小説もここで読むことができる。ニセコにまつわる短歌や絵画の作品集も興味深く、あれこれ手に取ってみると、なんだかまちの匂いを感じられる。
「ニセコセクション」の棚に並ぶ本は「ニセコの文学」「ニセコの経済」「ニセコの芸術」などにカテゴリ分けされていて、複数の視点からニセコを見つめているような感覚に。「ニセコ史」のカテゴリもあり、まちの歩みも知れる。
落ち着いて読書できる座席があるから、手に取った一冊をのんびりと読破してみるのもよさそう。蓋付きであればドリンクの持ち込みもOKなので、近くのカフェでテイクアウトしたコーヒーなんかを持って行くのもいいだろう。
個人的には窓や壁に面した自習席のような座席(左奥)でじっくり本に浸りたい
館内をぐるりと回ると絵本が多いことに気づく。多様な言語の作品を集めたグローバルな展開がニセコらしい
その他にも所々にニセコっぽさを感じ、中でも私は雑誌コーナーに心を惹かれた。「雑誌ならどこの図書館でもある程度は揃っているだろう」と思われるかもしれないのだが、ここは「雑誌スポンサー」という制度が面白いのである。
「雑誌スポンサー」の提供により充実度を高める雑誌コーナー
「雑誌スポンサー」は〈あそぶっく〉に雑誌を提供している方々のことで、雑誌の提供を通してニセコ町を応援できるというもの。提供者は雑誌にスポンサー名を付けることができ、地域を応援しながら〈あそぶっく〉の利用者に自身の情報を発信できる仕組みになっている。
たとえばジン・ウイスキーを造る〈ニセコ蒸溜所〉が『たる』というお酒をめぐるカルチャーマガジンを、コテージ・グランピング施設を運営する〈ボンゴ広場〉が『BRAVOSKI』というスキー専門誌を提供している。
提供する雑誌にスポンサーそれぞれのカラーが出ているから、単純に雑誌を読むよりも楽しみが増す。それに、カラーが出ているからこそスポンサーに対する関心や愛着が生まれるようになっていて、いい制度だなと感じた。
有島に導かれるようにして「ニセコセクション」からまじまじと眺めていた私だが、見どころに溢れていて気づけば長居していたし、帰るときにはすっかり〈あそぶっく〉のファンになっていた。
有島作品に触れられる場所、というのをきっかけの一つとして書いたが、〈あそぶっく〉はあらゆる楽しみ方で本に触れられる場所だと思う。ぜひみなさんのお出かけ先リストにも加えていただけると嬉しい。
おまけの耳寄り情報
最近ボードゲームの貸し出しも始めたようで、「ito」「ナンジャモンジャ」「はぁって言うゲーム」などYoutubeでよく見かけるものが揃っていた。ニセコに長く滞在する方や地元の方は、気になるボードゲームを借りて楽しんでみてはいかがだろうか。(2026年5月末時点の情報)
あそぶっく Niseko Library ニセコ町学習交流センター
所在地 ニセコ町本通105
開館時間 10:00〜18:00
閉館日 毎週月(月曜日が祝日・休日の場合は翌日火曜日)、国民の休日、毎月最終金(図書整理日)、年末年始





