移住者が多いニセコエリア。ニセコを拠点に数々のアクティビティを展開する、北海道ライオンアドベンチャーの代表取締役 下田伸一さんもその一人。ニセコリゾート観光協会の代表取締役も務め、まちづくりの活動にも携わる下田さんに、ニセコでの暮らしや観光についてお伺いしました。
多彩な人々が集うニセコ 篇
町の趣と豊かな景色に惹かれて 篇(本記事)
教科書にない生き方が見つかる 篇
“イケてない”ところに魅力がある⁉︎ 便利さを求めすぎないことで生まれる心地よさ。
─下田さんのお住まいはニセコ町ですが、この町のどんなところに魅力を感じていらっしゃいますか?
下田:実は“イケてない”ところがいいんです(笑)。キラキラしすぎていない。キラキラを求める人は都市部の暮らしのほうが合っていて、ここにはそれが合わない人が集まっていると思うんですよね。
キラキラしたところを想像して来る人は「思っていたのと違った」って、出ていくこともあります。でも、それはそれでいいと思うんです。無理やり来たり、無理やり住んだりするのは違いますからね。
結果として、この町が好きな人、ここでの暮らしが好きな人が集まっていると思います。ニセコ町って町内にコンビニは2軒しかないし、マクドナルドもないし、カードを使えないお店もよくありますけど、そういう便利すぎないところもいいんですよね。
─そういえば、ニセコ町に移住した方が“理想的な田舎”って表現しているのを聞いたことがあります。
下田:たしかに。“イケてない”って、本当にイケてないわけじゃなくて。わかりやすくときめくものがあるんじゃなくて、歩いてみることでわかる魅力がある。過疎の田舎ではなくて、気になるものがあって来てくれる人たちがいる。そういうことなんですよね。本当にイケてなかったら、人は集まらないですもんね。
知る人ぞ知る“裏ニセコ”を感じるスポットは、好きな人にはきっと刺さるはず。
─どこか一つを選ぶのは難しいと思うんですけど、その“イケてなさ”を感じられるような、お気に入りの場所を教えていただくことはできますか?
下田:2025年の結婚記念日に行ったところを紹介しますね。〈肉村〉っていうお店※なんですけど、ここが面白いんですよ。まず、おしゃれなお店ではないです(笑)。
※複数の店舗があり、今回ご紹介いただいたのはニセコ店。
起業したいってニセコに来る人が多いけど、お店になる物件がないって悩む人もいる中で、〈肉村〉は「え、これでいいの?」っていうお店なんですよ。見た目はちょっと古い一般住宅で、ゲリラっぽいというか。
〈肉村〉ニセコ店の外観。オリジナリティのあるのれんが目印
その一般住宅の玄関から入るんですけど、「土足のままどうぞ」って言われて。普通のレストランはそうだけど、見かけが一般住宅だから、「え、土足でいいの?」って一瞬戸惑いながら入るんです(笑)。

この玄関がお店の入り口。土足のまま入店を
ホームセンターで買ってきたもので作ったのかなっていうテーブルとか、ビールケースを逆さまにして座布団を置いたイスとか、手づくり感があって、その感じが面白いなと思って。

手づくり感がある店内の様子。左側にビールケースを使ったイスが見える
料理は美味しくて、中身で勝負っていうかね。観光でニセコに来たなら必ず行けっていうのとは違う良さなんですよね。でも、僕みたいに“イケてない”のが好きな人なら「これはいいぞ」って言うようなところなんです。これってなんか“裏ニセコ”ですよね(笑)。

ロース芯を使用したこだわりの一品、北海道牛ステーキ丼
─“裏ニセコ”、まさにそういうお話を聞きたかったです(笑)。お店のほかに、友だちに教えたくなるような“裏ニセコ”的なコンテンツはありますか?
下田:うちでスノーモービルに乗ったり、雪山の奥のほうまで行っていい景色を見つけたり、ガイドブックに載らないというか、載せられないようなところを教えたいですね。それこそ“裏ニセコ”っていうか、僕が感じている魅力ですね。
住んで20年以上が経っても、写真に残したくなる景色に出合える。
─いい景色が見られるところもさまざまだと思うので、ニセコに遊びに来る人たちが行きやすいビュースポットも教えていただきたいです。
下田:ベタだけど、晴れた日に登山して見る景色は最高ですよ。住んでいても、その景色を見ると、いいところに住んでいるなあって思います。
アンヌプリを裏側から登ると、1時間くらいで上まで行けて、羊蹄山がきれいに見えるんです。もちろん羊蹄山を登って見る景色もすごくきれいですけど、アンヌプリのほうが気軽に登れるので、慣れていない方にもおすすめです。
有島エリアもロハスでいいですよ。有島記念館もいいですし、記念館にあるタワーを登って近くの景色を見てみるのもいいと思います。

奥にそびえるのが有島記念館のタワー
─いい景色に出合うのに、おすすめの時間帯はありますか?
下田:マジックアワーですね。たとえばアンヌプリから、きれいなグラデーションの空が見えたりします。そういう景色を見ると元気をもらえるから、「今日も仕事か…」っていうネガティブな感覚になることがないんですよね。
家の前から見る景色もよくて、夕日も朝日もきれいです。住んでいても「わあ、きれいだなあ」って写真を撮っちゃうくらい。20年以上経っているのに、いまだに旅行しているような気分になることもあります(笑)。
トゥクトゥクでお気に入りの景色を探す、新たなニセコの楽しみ方も誕生。
─景色を楽しむのには、ライオンアドベンチャーが2025年の初夏から始めたというトゥクトゥクのレンタルも良さそうだなと思っていたんですが、これはどうして始めることになったんですか?
下田:ニセコ駅って坂のふもとにあるじゃないですか。そこからはどこに行くにもまずは登りになるんですね。歩かないと気づけない魅力があるけど、でも歩くの坂だしなあ、って。
それで、車より歩くのに近いスピードで楽に移動できる手段というと、電動アシスト自転車が浮かびますけど、1台に1人しか乗れないですよね。トゥクトゥクなら3人乗れて、ヘルメットもいらない。これだ、と。

水色の車体にライオンアドベンチャーのロゴが入ったトゥクトゥク
後ろの人はソフトクリームを食べながら乗ることもできちゃうし、ヒールのある靴でもいいですからね。絵になるというか、乗り物としてかわいいし。乗っていると、手を振ってくれる人もいるんですよ。
おもちゃっぽいというか、これもまた“イケてない”感じはあるんですけど、その“イケてなさ”もいいんですよね(笑)。エアコンはついていないけど、風を感じることができるし。ちょっと雨が降っても、ワイパーがついているので大丈夫です。

編集部はインタビュー翌日にトゥクトゥクを体験。絶妙な“イケてなさ”があってかわいらしい
ミルク工房に行ったり、ニセコ蒸溜所に行ったり、そういうときにも車だと通り過ぎるような景色をトゥクトゥクで楽しんでほしいです。トゥクトゥクで自分だけの景色を見つける、これは新たなサイコーニセコですね。
地元の人たちのトークが、旅の思い出を彩るコンテンツになる。
─新たなサイコーニセコになるものとして、雨の日の楽しみ方も見つけていきたいんですが、雨の日にはどんな楽しみ方がありますか?
下田:たとえば、今日さっき僕の話を聞いていただきました※けど、そういうのも旅行に来た人のコンテンツになりうるんですよね。これって雨の日でもできるじゃないですか。
※地域おこし協力隊の方々に向けた講演に、編集部も参加させていただいた。ちなみにこの日も雨天だった。
旅行で誰かに話を聞いてみたいと思っても、ホテルのフロントで話すとか、お店のレジで話すとか、大体そのぐらいですよね。そうじゃなくて、がっちり聞くことができると面白いと思います。
これは実際に僕自身が観光圏※の研修で感じたことなんですよね。同じ観光スポットに行くにしても、ただ行くのと、その土地の歴史とかそこにいる人の物語を聞いてから行くのだと、めちゃめちゃ価値が変わるな、と。
※下田さんは観光圏の幹事・観光地域づくりマネージャーでもある。
人を介さないと土地の印象が薄いっていうのが、その研修での学びでした。それで、トークはコンテンツになるものだと感じました。ボランティアのガイドさんとか語り部さんはいろんなエリアにいるので、そういう人に会ったほうが旅行は面白くなると思います。
─ニセコエリアでガイドさんに出会いたいときはどうすればいいですか?
下田:観光協会のホームページとか電話で「話せる人いませんか?」ってぜひ聞いてみてください。観光協会に問い合わせるってプライベートの旅行ではあんまりないと思いますけど、そういうことをしてみるのも面白いと思いますよ。
─自分の旅行を思い返しても、その土地の人との交流があるほど記憶に残っています。いろんな人にお話を聞いたり、トゥクトゥクに乗ったり、新たなサイコーニセコをどんどん見つけていきたいと思います!
下田:体験してこそニセコですから、ぜひ楽しんでください!

ライオンアドベンチャーには冬のアクティビティも。要チェック
北海道ライオンアドベンチャー
所在地 ニセコ町中央通60の4
営業時間 2026年3月31日(火)までは9:00〜17:00 ※季節により営業時間が変わります。2026年4月1日(水)以降の営業時間はHPをご確認ください。 ※営業時間はニセコベース(受付事務所)のオープン時間です。各アクティビティの実施時間は異なりますので、別途ご確認ください。
定休日 無休
電話番号 0136-43-2882
ニセコリゾート観光協会
電話番号 0136-44-2468
■JRニセコ駅観光案内所
所在地 ニセコ町中央通142の1
営業時間 9:00〜18:00 ※不在時あり
定休日 無休
電話番号 0136-44-2468
■道の駅ニセコビュープラザ観光案内所
所在地 ニセコ町元町77の10
営業時間 9:00〜18:00
定休日 無休
電話番号 0136-43-2051





