移住者が多いニセコエリア。ニセコを拠点に数々のアクティビティを展開する、北海道ライオンアドベンチャーの代表取締役 下田伸一さんもその一人。ニセコリゾート観光協会の代表取締役も務め、まちづくりの活動にも携わる下田さんに、ニセコでの暮らしや観光についてお伺いしました。
多彩な人々が集うニセコ 篇(本記事)
町の趣と豊かな景色に惹かれて 篇
教科書にない生き方が見つかる 篇
海外生活で日本の魅力を再発見。帰国後の生活拠点として、パウダースノーがあるニセコへ。
─下田さんは、ご出身は関東ですよね。ニセコに住んでどのくらい経ちますか?
下田:来たのが2002年なので、もう20年以上経ちますね。
─ニセコに移住する前はカナダで生活されていたとか。ニセコに移住した経緯を伺ってもいいですか?
下田:遡ると、カナダに行ったきっかけは教員採用試験に落ちたことなんです。落ちて、ここからどう生きようって考えて。それで、海外に行こうと思いついて、ドライバーの仕事で資金を貯めてカナダに行きました。
日本を出て世界を見てみたかったのと、ウインタースポーツをやりたいって気持ちもあったので、スキーリゾートのウィスラー、バンフっていう地域でカナダの冬を2度過ごしました。今思うと、バンフはちょっとニセコに似ていました。
そこで今の奥さんと出会いました。彼女も東京出身の日本人で、バンフで半年くらい生活したあとに彼女と相談して、日本に戻ることを決めました。海外で生活してみると、四季があることだったり、文化だったり、日本の素晴らしさに改めて気づきましたね。
ただ、日本に戻るとしたら、もう東京ではないと思って。ライフスタイルを考えてもそうですし、カナダにいるときからスキーヤーの間でニセコのパウダースノーが話題になっていたこともあって、日本に戻るならニセコがいいと思ったんです。
ニセコに住むために、さまざまな仕事を経験。住み続けて感じる、住民ならではの贅沢も。
─帰国してから、ニセコでの生活はどのようにスタートしましたか?
下田:まずは札幌で情報収集しながら資金を稼ぐ期間を設けて、それからニセコに来ました。仕事があるからニセコに住むんじゃなくて、ニセコに住むために仕事を見つけなければいけなかったので、どんな仕事でもやるつもりでした。
当時は地域おこし協力隊の制度もなくて、まずは行動しようとハローワークに行ったり、スキー場の索道係とかスキーのインストラクターとか季節雇用の仕事をしたり、農家さんの手伝いも、いろいろやりました。
住んで1年経った頃にはセゾンクラブ※で働き始めて、バスの運転手とかラフティングのガイドとか、ここでもいろいろやりました。そのあとセゾンクラブのアウトドア部門を分社化することになって、セゾンクラブから独立してライオンアドベンチャーを設立したんです。ロゴは僕が考えたものなんですよ。
※ニセコでアウトドアが観光コンテンツの一つとして成り立ち始めた初期からアウトドア・インドア・ホテル業を営んでいた企業。

ロゴを配した看板。よく見ると「ライオンアドベンチャー」の文字がライオンの体に
─それからしばらく経ちますが、移住したばかりの頃と今で、このエリアの印象やここで暮らして感じることになにか変わったところはありますか?
下田:何を目的にニセコへ来たかが人によって違って、それによって感じ方も違うと思うんですけど、僕はまず滑りたいと思っていたんです。いろんな山に登って滑りたくて、一通り楽しんだら気が済んで。その点で変わったところが、今はもう朝のリフトに並んだりしないぜ、っていうところです(笑)。
住んでいると、朝からリフトに並ばなくても自分のタイミングで行けるし、いいところを知っているっていうのもあって、スキーも贅沢に楽しめます。コロナ禍はいろいろ大変でしたけど、ニセコに住んでいるからニセコの山で滑ることができて、逆境でも楽しみを見出せました。
“みんな違って、みんないい”が体現される町には、一人ひとりのストーリーがある。
─「ニセコは移住しやすい」という声を聞くこともありますが、実際どうですか?
下田:地域コミュニティに馴染めなくて悩むっていうのは、ニセコでは少ないと思います。移住してきた人、もとはよそ者だった人が多いっていうのもあってか、田舎なんだけど都会で感じるような気の遣わなさがありますね。
同調圧力が少ないというか。海外経験のある人たちがいたり、ドロップアウトしてきた人たちがいたり、それぞれのバックグラウンドがあって、自由人が多いイメージです。
─移住者が多いのもニセコの特徴ですよね。そこで、ニセコらしさってなんだろうって考えると、人によってばらばらで、一つの答えを出すのが難しいなと思うんですけど…
下田:本当にそのとおりで、その多様性こそニセコらしさというか。やりたいことがそれぞれにあって、それぞれ認め合っている、っていう感じなのかな。“みんな違って、みんないい”みたいな。
僕自身は走りながら考えて、考えながら走って、ってとにかく行動するタイプですけど、こういう僕みたいな人がいてもいいし、ゆっくり過ごしている人もいて、それもいい。
─たしかに、ニセコに住む人たちとお話していると、いろんな生き方があることを実感します。
下田:人生でなにか思うところがあって、ニセコにポンと来る人もいますしね。敷かれたレールを進んでいるのとは違う感じがしますよね。もとはレールに乗っていたけど降りたっていう人もいるだろうし。ニセコに来るまで一人ひとりにストーリーがあるんだなって思いますよ。
一人ひとりが持つストーリーに価値がある。だから、人が人を呼ぶ、人が人を連れてくる。そうやってニセコにいろんな人が集まるんだと思います。ニセコは本当に人ありきです。
人が人を呼ぶ、っていうのはライオンアドベンチャーの中でもあって。うちでは求人を出したことがなくて、スタッフが一緒に働きたい友だちを連れてきて、その子もスタッフになるってことが多いんです。

ライオンアドベンチャーには独自の採用方法で入社したスタッフが集まる
友だち同士だと、給料とか休み、人間関係がどんな感じかっていうところを本音で話しているわけで、条件を字面で見るのとは違って、本当の情報を知って来てくれているんですよね。
そうやって集まってくれたスタッフにもいろんな生き方、働き方があって、たとえば朝の時間帯にやっている気球の仕事だけする人もいれば、決まった季節だけ働く人もいます。

スタッフはライフスタイルに合わせた働き方でニセコの自然と触れ合っている
「ニセコ」というキャッチーな音の響きも、人が集まる理由の一つかもしれない。
─いろんな背景を持つ人がやってきて、一人ひとり自分らしく生きる。その姿に魅力を感じますし、こうしてお話していると、それを受け入れてくれるところもニセコらしさなのかなと思いました。
下田:それから、ニセコっていう名前も、らしさかも。移住者がニセコに来る理由には、もちろん自然が豊かとか、教育に良さそうとか、いろいろあるんですけど、その中で「ニセコだから」って言う人がけっこういるんですよ。
─直感でピンとくるものがあるのか、何人もそう答えていると、ただ「ニセコだから」っていうのが理由として成立している感じがして面白いですね。
下田:ニセコ町ってもともと狩太(かりぶと)町っていう名前だったんですよ。もしそのまま狩太っていう名前だったら、僕も来ていないかもしれない。住んでいないかもしれない。ニセコっていうキャッチーな名前だったから、っていうのはちょっとあると思います。
ニセコだから来たんだと。そう言う人がいるのもわかります。海外の人がニセコに来る理由にも「Because Niseko」があるんですよ。面白いですよね。

国鉄(現JR)の駅名も、町名と同じくかつては狩太駅だった
来訪者も、移住者も、出会えるのはバラエティ豊かな人たち。それもこの町の特徴。
─お話を聞いていると、いろんな人が訪れる町だからこその出会いもありそうですね。
下田:そうそう、「興味あるから行きますよ」って、ニセコに講演しに来てくれる方も多いんですよ。都市部に行けばいろいろありますけど、藻谷浩介さん、植松努さん、谷口たかひささん、こういう方々が町民センターとか有島記念館で話してくれるんです。
そういうのを見ると、ピンと来ちゃうんですよ。この町すごいな、って。だって5000人の小さい町に、そうやって来てくれる人がいる。いい話が聞けると自分の経験値も上がったりしますし、それもニセコに住んでいてよかったと思うことの一つですね。
プライベートで遊びに来ているビッグネームと出くわすこともあるし、さっき言ったように自らレールから外れて移住してくる人も多い。バラエティに富んだ人たちに出会えます。ここは自然もいいし、気候もいいけど、やっぱり人との出会いも魅力です。
ライオンアドベンチャーには冬のアクティビティも。要チェック
北海道ライオンアドベンチャー
所在地 ニセコ町中央通60の4
営業時間 2026年3月31日(火)までは9:00〜17:00 ※季節により営業時間が変わります。2026年4月1日(水)以降の営業時間はHPをご確認ください。 ※営業時間はニセコベース(受付事務所)のオープン時間です。各アクティビティの実施時間は異なりますので、別途ご確認ください。
定休日 無休
電話番号 0136-43-2882
ニセコリゾート観光協会
電話番号 0136-44-2468
■JRニセコ駅観光案内所
所在地 ニセコ町中央通142の1
営業時間 9:00〜18:00 ※不在時あり
定休日 無休
電話番号 0136-44-2468
■道の駅ニセコビュープラザ観光案内所
所在地 ニセコ町元町77の10
営業時間 9:00〜18:00
定休日 無休





